世にゲキ辛と書いてあるものが本当に食べられないぐらい辛くなってから何年たつのだろうか。昔は、ゲキ辛と書いてあっても、我慢すれば食べられるぐらいの辛さであった。わーからいーとかはしゃぎながら食べられるぐらいであったはずだ。そう、我々は辛さを楽しんでいたはずだ。それが近頃ではどうだ?本当にこじゃれてきれいなお店でも、ゲキ辛と書いてあるものを頼むと、唇は腫れ上がり、胃は熱を持ち、本気で客の身体を壊しにかかるかのような辛さである。最近も、高田馬場でまあこじゃれたでも食券で、というような新しいカレー屋さんに行きました。味に「アブノーマル」というのがあったので、じゃあこれ下さいと食券を出したら、「本当に辛いですよ」ときれいな女性が注意。うるせえな。黙ってとっとと持ってこいっつんだよと思ったのを顔に出さず、「えとぉ〜」と迷ったふりをして、いかにも忠告はありがたいし、その忠告をききいれない僕は愚かで向こう見ずだけど、それにも増してあなたが注意をうながす辛さというのがいったいどれぐらいなのか知りたいよ、好奇心の方が勝っちゃったてふぇって感じで頼んだ。そしたら、辛くてもう途中から、顔や腹から水を出しながら、つまり汗をかきながら食べました。全然おいしくなかった。辛さの中においしさがあり、また辛さ自体のスパイスのハーモニーを楽しむという次元じゃなくて、比例的な感覚で、「アブノーマル」は辛口の2倍香辛料をいれようといった感じ。ようするに、ホントウは1.5倍の方がうまいのに、2倍いれとけみたいな。味に興味がねえ料理人は、まああれだよね。調理師免許剥奪なんて生温いし、ハシムの体当たり50回の刑だとドーベルマン刑事も言ってるつーの。こんなこじゃれた雰囲気の店でもこういうことをやる世の中になったのです。世の中のバランスが見えず信用できなくなるってことは、僕は社会的にオールドスクールになったってことだ。くそ。